鳥居は世俗と聖地の境界線~鳥居の起源~

2020年11月10日

亀戸天神社鳥居

私の母の実家は、浄土真宗のお寺です。

寺ですが入口には、立派な鳥居が有ります。

私は子供の時は、寺も神社も鳥居があるものだと思っていましたが、これはレアケースだと大人になり知りました。

とはいえ聖徳太子創建と伝わる四天王寺などいくつかの寺院には、鳥居が立っています。

今回は、鳥居に関して調べてみました。

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鳥居の起源

正直なところ鳥居の起源に今のところ定説は、ないようです。

これだけ日本のほぼすべての神社に、鳥居があるのに起源に定説がないのは驚きです。

代表的な説が、下記の4つの説です。

1.玄関の二本柱説

原始時代の居住地の垣根の入り口部分に、二本の柱を立てる風習がありました。

社を祀るようになってからも入り口に二本の柱を立て、補強のために横木を渡したのが起源とする説が考えられています。

2.中国起源説

中国の門柱のことを華表(かひょう)と言います。

この華表と書いて「トリイ」と読む日本の苗字が有ります。(参考:名字由来Net

このことから中国起源説が、考えられています。

3.日本神話説

日本神話で天照大御神が素戔嗚尊の高天原での暴状に怒り、天の岩戸に隠れ天地が常闇になってしまいます。常世の長鳴鳥(ながなきどり:ニワトリの古称)が鳴き暁を知らせたのでアマテラスが岩戸から出てこられた。

この故事から神社には、ニワトリの止まり木を立てるようになり、名称も略され「トリイ」となり形も整備され今のようになったという説。

4.インド説

原始仏教では仏舎利を納めるストゥーパ(仏塔)が信仰の中心にありましたが、このストゥーパを囲む門を「トラーナ」と言います。(参考写真へ

形も似ているところから、「トラーナ」が日本語化し「トリイ」と呼ばれるようになったという説。

諸説がありますが、鳥居は日本独特のもので近隣諸国の宗教施設では見られません。

鳥居という呼び名は、「通り入る」からきているという説があります。形からすると、インド説が有力なような気がしますね。

鳥居の種類

鳥居も良く見ると各神社により特徴がありますが、大きく分けると神明系と明神系とに分類されます。

〇神明系―直線的な造形で、横木は二本とも似た形をしています。

芝大神宮大鳥居
写真:芝大神宮大鳥居

〇明神系―曲線的造形で、上の横木には屋根を葺いたような形をしています。

仏教建築の影響を受けた装飾も見受けられます。

神田明神大鳥居
写真:神田明神

鳥居写真

厳島神社

▲厳島神社のこの鳥居は、両部鳥居と呼ばれています。

 

山王日枝神社

▲山王日枝神社の鳥居は、山王鳥居と呼ばれています。

 

根津神社千本鳥居

▲根津神社千本鳥居

聖と俗を分ける境としての鳥居

神社に行くと何気なく、くぐっている鳥居ですが、このポイントがご神体のおわす聖域と我々が暮らす俗界との境界線なのです。

ですからくぐるときには、必ず一礼してからくぐるのが礼儀ですよね。

この鳥居をただ「くぐる」だけとみなさん思うでしょうが、この瞬間に我々はを行っているのです。

本来禊とは、川や海に入り体を清める行為ですが、この「くぐる」という行為で代用しているわけです。

この「くぐる」と言う行為が、邪気払いと言う言い伝えは古く神話の時代にまでさかのぼります。

ある時スサノオノミコト(武塔神 )が、一夜の宿を求めた時、裕福な弟はそれを断りました。それに対し、貧しい兄は、快くスサノオノミコトを宿泊させました。

帰り際スサノオノミコトは、兄に茅の輪の腰蓑を与えました。その後この地方には疫病がはやりましたが、兄は疫病に罹らず救われたのでした。

「備後国風土記」

一説には、助かったのは兄の娘とも言われています。

この腰蓑が、次第に大きな茅の輪に変わっていきます。

そして、茅の輪をくぐり抜けると、邪気払いになるという風習が次第に定着していきます。

この茅の輪をくぐる神事、「名越(夏越)の祓い」は、多くの神社で執り行われています。

鳥居と茅の輪には同様のご利益があると考えると、世俗の汚れを清め神域に入るという行為となっていきます。

茅の輪―名越の祓い

鳥居のくぐり方と作法

鳥居をくぐるのにも、それなりの作法という物があります。

まず鳥居の前で一礼し、真ん中を歩かずはじを歩いて拝殿へと向かうのが作法です。

さらに詳しく言うと、帽子やコートは脱いで参拝するのが礼儀ですが、コートはあまりに寒いときは仕方ないかもしれません。

参道は、左側を歩くのが基本です、初詣とかで混みあっている場合はしょうがないですけどね!

さらに一歩踏み込むと、一礼した後最初の一歩は左足から踏み出すとさらに礼儀に合います。

左側を歩くのは、真ん中は神様の通り道ですからそこを通ることは失礼になります。

何故左かと言うと、神道では左が神、右が人とされていて、神様に近づく時は左からとされています。

ただ神社によっては違う場合もあります。

神社内には乗り物を乗っての進入はいけません。

かつては、身分の高い人でも必ず馬から降りて歩いて参拝しなければなりませんでした、現在でも気軽に自転車に乗って境内に入るのは絶対ダメですよ。

自転車を押してでも、鳥居はくぐらないようにしましょうね!!

「闖入」という不審者が入ってくるときに使う言葉がありますが、門の中に馬が入ってますよね、これは門の中には馬が入ってはいけないということです。

門(鳥居)のなかに、乗り物を入れてはいけないと言う考えの現れです。

まとめ

鳥居の存在は、日本の風景にはあまりに自然に溶け合っているのであまり深く考えてきませんでした。

でも調べると、起源一つをとっても解らないことが多くあります。

これから鳥居をくぐるとき、神様に近づくと心してくぐりたいものです。

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