下北沢森巖寺(しんがんじ)|女性の願い事をかなえてくれる淡島様が鎮座するお寺
今回はショッピングも楽しめるところと考え、下北沢にやってきました。
寺社散策の趣味は私だけですから、かみさんも楽しめるところと考え場所を選定しています。
森巌寺は女性のお悩み解決の神様、淡島様が祀られています。
淡島様と言う神様を知らなかったので興味がわきますし、持病のある家のかみさんにはもってこいの神様です。
森巌寺はもちろんお寺さんですが、神様も祀ってあるのです。
徳川家ゆかりのお寺
今回訪問した森巖寺は、徳川家康の次男結城秀康の位牌所として建立されたお寺さんです。
結城秀康は母親の出自が卑しいため、将軍職は弟の秀忠へ譲ることになってしまいました。
秀忠の母親は名家土岐氏の生まれもあって、家康の長男信康在命中から世継ぎと目されていました。
ただ武将としては秀康の方が優れていたので、家臣の中には秀康を押す声もあったようです。
結果論で言うと秀康は30代で死んでしまいますので、秀忠が将軍でよかったのかもしれません。
家康の次男で将軍になれず、早世した悲運の武将と言うイメージが秀康にはあります。
そんな秀康のことを想像しながら、森巌寺を訪れてみました。
(2018年2月15日参拝)
▼目次
沿革
森巖寺は、「りんがんじ」と読むのではなく「しんがんじ」と読みます。
1608年(慶長13年)に、結城秀康の位牌所として建立されました。
秀康は家康の次男ですが、豊臣秀吉との和解のために豊臣家へと養子に出されます。
その後豊臣秀頼が生まれたことにより、豊臣家から北関東の名家結城家に再度養子に出されます。
関ケ原の合戦時には、関東に残り上杉景勝と対峙し上杉氏の南進を阻止しました。
その武功により越前藩主となり、結城姓から松平姓へ戻すことが許されました。
改名した秀康は、越前松平家宗家初代となります。
慶長12年(1607年)には病状が悪化し死期を悟った秀康は、一乗院住職万世和尚に自分の死後に江戸の地に一寺を建立を託し、そこに自らの位牌所の建立を命じました。
その位牌所が、この森巖寺です。
ちなみに秀康の墓所は森巖寺ではなく、 南品川の海晏寺・福井県の大安寺・高野山奥の院の三か所に埋葬されています。
万世和尚の高弟清譽存廓上人が、慶長13年(1608年)に当地で開山しました。
こちらのお寺の正式名称は、八幡山浄光院森巖寺と言います。
秀康の法名は浄光院殿森巖道慰運正大居士と言い、この法名から浄光院森巖寺と名付けられました。
またこの地には、八幡神社があり八幡山と名付けられています。
ご本尊とご利益
こちらの森巖寺は、浄土宗のお寺さんですので本尊は阿弥陀如来になります。
境内には、不動・閻魔堂に閻魔様と不動明王、弁天堂には弁才天が祀られています。
こちらのお寺の特筆すべきが、淡島堂です。
初代住職清譽存廓上人は紀州の出身で、持病の腰痛に悩まされていました。ある夜、故郷の淡島様が夢枕に立ち、灸治の零示を受けました。
早速、自分の足へ施灸すると、永年の腰痛が嘘のように全快したそうです。そのため、紀州加太の本社に願い出て境内に淡島様を勧請しました。出典:森巖寺HPより
淡島様は女性にとってはとてもありがたい神様で、婦人病治癒を始めとして安産・子授け、裁縫の上達、人形供養などに霊験のある神様です。
境内Pick Up
若者の街下北沢からほんの8分歩いたところに、こんな閑静なお寺があるとは驚きです。
山門
不動堂・閻魔(えんま)堂
閻魔様とお不動様と、恐ろしい形相で迎えてくれますが、珍しいコンビで祀られていますね。
淡島堂
現在のお堂は、天保7年(1836年)に建立されたものです。江戸時代の終わりに近い時代です。
淡島様とお呼びしていますが、祭神は医療と医薬の神の少彦名神(スクナビコナ)をお祀りしています。
また一緒に大黒様もお祀りしています。
狛犬
淡島様は神様に分類されますから、お寺の境内ですが狛犬が鎮座しています。
ちゃんと狛犬が、淡島様を御守しています。
本堂
とても綺麗に整備されていて、心が洗われるような気がします。
境内写真
毎年2月8日に針供養が開催されています。
こちらの弁天様は、八本の手をもつ一面八臂のお姿で、琵琶はお持ちになっていません。
この写真では分かりにくいのですが、頭の上には宇賀神像が乗っています。
井の頭公園の弁天堂にも宇賀神像が祀られています。(関連記事:都会のオアシス井の頭弁財天)
以前は、淡路堂でお灸の施術をしていて、『粟嶋の灸』と言ったそうです。
周辺情報
森巖寺から道一本東に行くと、北沢八幡神社が有ります。
明治以前は当寺が、別当寺でした。
▲北沢八幡神拝殿
森巖寺から南に数分行くと、北沢川緑道がありのんびりと散策できる場所です。
基本情報
所在地 | 東京都世田谷区代沢3丁目27番1号 |
電話 | 03-3421-1730 |
公式HP | http://www.shinganji.jp/ |
山号 | 八幡山 |
宗派 | 浄土宗 |
御本尊 | 阿弥陀如来 |
創建年 | 1608年(慶長13年) |
開山 | 清譽存廓孫公和尚 |
開基 | 結城秀康 |
正式名称 | 八幡山 浄光院 森巌寺 |
文化財 | 森巌寺の針供養(世田谷区指定無形民俗文化財) |
アクセス | 小田急線・京王井の頭線「下北沢駅」より徒歩約8分 |
まとめ
大きなお寺ではありませんが、見どころは満点でした。
江戸時代のお寺は庶民の信仰を勝ち取るために、現代のテーマパークと同じようにアイデアを競っていたようです。
淡島様信仰は、女性参拝者獲得を狙ったのかもしれませんね!
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