五感を超える「釜鳴神事」の御田八幡神社
江戸八所八幡神社を参拝しようと思い早5年、コロナ禍で長い中断をしてしまいました。
現在5社を巡り、御田八幡神社でついに6社目となりました。
御田(みた)八幡神社は、名前から分かるかもしれませんが東京都三田にあります。御田八幡神社の御田は、旧地名の書き方のようです。
一時期は神社名も三田にしたのですが、現在は旧地名の御田に戻しています。
御田八幡神社のある三田周辺は国道15号線(京浜1号線)が通り、車の往来も多くまさに東京の中央という感じです。
近くには三年前に開業した「高輪ゲートウェイ駅」があり、東京最後と言って良い大開発が進行中です。
そんな都心の真っただ中に、こんなことを言ってはいけませんが「ぞく!」という雰囲気を醸し出しているのが御田八幡神社です。周りの都会空間とこの深淵と言える空間は、同じ街とは思えません。
御田八幡神社の裏側には、亀塚公園と三田台公園があり田町寺町もあるので国道から一歩奥に入ると意外に緑の多い一帯です。
参拝日2023年8月22日
▼目次
沿革
御田八幡神社の創建は709年(和銅2年)と言われています。都内には上野の五条天満宮や府中の大國魂神社のように西暦110年ころの創建という神社がありますが、それでも御田八幡神社は都内では古い神社になります。(五条天満宮は伝えでは景行天皇朝時代の創建とされていますが、景行天皇は実在すれば4世紀前半の人物とされています。社伝の年代推計は、日本書紀の年代をもとにしてるようです)
当社は東国鎮護の神として、牟佐志国牧岡に創祀されたのが始まりとされています。この牟佐志国牧岡とは現在のどこの地域かは、説明したサイトがなく詳しく分かりません。
その後、寛弘8年(1011年)に武蔵国御田郷に遷座しています。
江戸時代の絵図を見ると御田八幡神社は海の近くに鎮座してますが、現代の感覚だと三田のあたりから海は少し離れています。明治以降この辺りは埋め立てられ、海はずいぶん離れてしまいました。
明治になると神仏分離などがあり、神社のありようが変わり明治5年(1874年)に「三田八幡神社」に改称し、当時出来た序列では郷社に列しています。
時代が流れ明治30年(1897年)になると、旧地名の「御田八幡神社」に復し現在に至っています。
第二次世界大戦中の昭和20年には、東京大空襲で寛文12年造営の社殿が焼失という惨事に見舞われてしまいます。現在の社屋は、昭和29年に再建されたものです。
江戸時代の別当寺は、海量院という寺院だったようですが廃寺になっています。
ご祭神とご利益
ご祭神 | 誉田別尊命(八幡神・応神天皇) |
相神 | 天児屋根命 武内宿禰命 |
御利益 | 武運長久・健康長寿・学業成就・商売繁盛・出世開運 |
八幡神社の総社である宇佐八幡宮の主祭神は、応神天皇(誉田別尊命)と比売大神と母の神功皇后をお祀りしています。
各地の八幡神社は、応神天皇をお祀りするのは同じですが、他の二神は差異があります。
天児屋根命は、藤原氏の祖神で春日大社の主祭神です。また、武内宿禰命は、景行・成務・仲哀・応神・仁徳 5代の天皇に仕えた忠臣で、蘇我氏など有力氏族の祖先とされています。
釜鳴神事
『「釜鳴神事」という、全国でも数少ない特殊神事が1月と5月の15日に行われています。』とHPに書かれていますが、どのような神事かは書かれていませんでした。
一般的には「釜鳴神事」は、湯を沸かした釜の上に木製のこしきを乗せそこは出る音で吉兆を占ったり、こしきに玄米など入れその弾ける音で吉兆を占う神事です。
茨城県の「皇祖皇太神宮」、香川県の「造田神社」、岡山県の「吉備津神社」などでも「釜鳴神事」が執り行われています。(各神社で釜を使うのは同じですが、その上に乗せるものは違うようです)
一陽来復御守
一陽来復御守は早稲田の「穴八幡神宮」が有名ですが、御田八幡神社も冬至から節分まで限定で授与しています。
関連記事:早稲田 穴八幡宮|金銀融通の御利益のある「一陽来復の御守」
境内Pick Up
▼鳥居
第一京浜の札の辻交差点近くから、「御田八幡神社」の大きな文字が見えます。このビルの脇の道を入るとすぐに鳥居があります。
▼御田八幡神社の社号碑
▼石段
中央の石段が「男坂」で左の緩やかな石段が「女坂」です。
▼手水舎
コロナ対策のままで、水は出ていませんでした。
▼狛犬
階段下狛犬
上の狛犬は「乳飲みの狛犬 」です。石が欠けていて少し分かりにくいですが、子狛犬が乳を飲んでいます。
こちらの狛犬にも子がいますね!
拝殿前狛犬
石段を登り拝殿前にも狛犬が鎮座しています。この狛犬は古く元禄九年(1696)奉納されたものです。
▼社殿・拝殿
先の大戦で寛文12年(1672)に作られた社殿は焼失し、昭和29年(1954)に再建されたものです。
▼神楽
▼摂社・末社
▼五光稲荷神社・御嶽神社
社殿の右側に、五光稲荷神社と御嶽神社が鎮座しています。
▼稲荷神社
本殿の右脇にとても古い稲荷神社があります。扁額も朽ち果てていますが「見稲荷大明神」と読むことができます。「伏見稲荷」とでも書いてあったのでしょうか?
裏手は鬱蒼とした竹林が見えます。
このお稲荷様だけは、異空間という気がします。
御朱印
初穂料・・・500円
受付時間:9:00〜17:00
社務所:社殿右側
周辺情報
2020年3月に暫定開業したのが、「高輪ゲートウェイ駅」です。この駅は、2024年に全面開業する予定です。
「高輪ゲートウェイ駅」の駅舎は、国立競技場をデザインした隈研吾氏の設計です。ここの屋根は、折り紙をモチーフとした和テイストの趣があります。
一階はホーム・二階はコンコースになっていて、三階は切符がなくてもは入れるデッキになっていてホームを見渡すことができます。
この周辺は、「TAKANAWA GATEWAY CITY」と言う名になり、駅周辺には4棟の高層ビルが並ぶ新しいスポットになります。
基本情報
所在地 | 東京都 港区三田3丁目7番16号 |
電話 | 03-3451-4687 |
公式HP | https://mitahachiman.net |
主祭神 | 誉田別尊命 天児屋根命 武内宿禰命 |
社格 | 式内社・郷社 |
創建 | 和銅2年(709年)[1] |
例大祭 | 8月15日 |
アクセス | 田町駅三田口(西口)・三田駅A3出口より徒歩8分 泉岳寺駅A3出口より徒歩5分 高輪ゲートウェイ駅より徒歩13分 |
まとめ
訪問した日は台風が列島に接近していて突然大雨が降るような天候のため、亀塚公園や田町寺町・泉岳寺への訪問は断念しました。
東京には多くの寺町があり、オフィス街の中に多くの寺院があります。インバウンドの方々には、なかなかエキゾチックに感じるようです。
この時代感の違いが、東京の寺社を巡る面白さの一つです。
※記事の情報は、参拝当時の情報となってます。
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