過去・現在・未来を見守る、「三世三仏」

三世仏

お寺に参拝すれば本堂には、必ず仏様が祀られています。

東京で見られる多くのお寺では、一尊もしくは脇侍を従えた三尊像が普通です。

また如来一尊と、多くの眷属が祀られているところもあります。

平安・鎌倉以降の宗派仏教は、如来一尊(一つの仏像)が基本形となっています。

ところが、飛鳥・奈良時代の寺院や一部の宗派では、如来が三尊祀られています。

奈良の法隆寺の金堂の中には、中央に釈迦三尊像・東に薬師三尊像・西に阿弥陀三尊像の三如来がおかれています。

平安時代以降の各宗派の仏教は主尊が決まっていて一尊のみを祀っていますが、飛鳥・奈良時代のお寺では法隆寺の三尊配置をベースにした考え方が主流でした。

この考え方を、「三世三仏」と言います。

現実に存在した如来である釈迦如来を中央に置き、生まれる前の浄瑠璃世界の教主薬師如来を東に、死後に訪れる西方浄土の教主阿弥陀如来を西に配置するのが、法隆寺の形式をベースとした基本思想形態です。

 

三世三仏を簡単に解説すると。

三世とは、生まれる前の世界、現在生きている世界、死後の世界ということです。

三仏とは、生まれる前の世界から送り出してくれる薬師如来、現世で指導してくれる釈迦如来、死後浄土へと導いてくれる阿弥陀如来ということです。

時代が奈良時代になると、盧舎那仏と言う仏さまが出てきます。

この盧舎那仏と言われる存在は、現世に釈迦如来を送り出す大本の如来のです。

盧舎那仏に摩訶を付け摩訶廬舎那仏と呼ぶと、密教の主尊大日如来に当たります。

解りやすく言うと、大いなる宇宙的存在である盧舎那仏の一部が、人間のサイズに縮小し現れたのが釈迦如来ということです。

ですから釈迦如来の本地物が、盧舎那仏ということです。

奈良の大仏は廬舎那仏ですが、その台座の蓮弁には線彫りで釈迦如来が描かれています。

仏典では、お釈迦様は何度も生まれ変わりこの世界を導きに出てきています。

 

三世三仏とは、「薬指に送り出され、釈迦に教えられて、阿弥陀に迎えられる」古寺めぐりの仏教常識 [ 佐伯快勝 ]著より引用)ということです。

 

お寺を参拝する際仏様の配置を知っているだけでも、参拝の楽しさが増します。

何故ここに薬師堂が有り、西の池の前に阿弥陀堂が有るかを理解できます。

 

追記

表紙の写真は豪徳寺仏殿の扁額(へんがく=看板)で、三世仏と書いてあります。

ところがこちらのお寺の三仏は、このコラムの解説とは少し違います。

過去仏が釈迦如来、現世仏が阿弥陀如来、未来仏が弥勒如来と言う構成になっています。

弥勒と言う仏さまは、菩薩形で描かれたり如来形でも描かれます。

弥勒菩薩は釈迦入滅後56億7千万年の後、この世に現れる未来仏です。

現在は兜率天と言うところで、修業をしています。

三世三仏を祀っているお寺にも、釈迦如来の後方や別のお堂に弥勒如来を祀っている事が有ります。

釈迦如来・薬師如来・阿弥陀如来に加え、盧舎那仏・弥勒如来(菩薩)が醸し出す仏教の世界観はまさに荘厳です。

 

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