知っているようで意外と知らない神社の境内

2020年11月10日

鷺ノ宮八幡神社
現在御朱印帳ブームで、多くの方が神社に訪れるようになっています。

せっかく神社に参拝するのですから、神社内にある建物などの意味を知っておくのも楽しみが増えるというものです。

今回は、神社の境内にある物や建物を解説していきます。

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▼目次

  1. 鎮守の森
  2. 境内の基本的な造り
  3. 摂社・末社・分社とは
  4. 神殿の起源
  5. まとめ

鎮守の森

以前は神社とイコールに近い意味で鎮守の森と言っていましたが、現在ではあまり聞かなくなった言葉です。

森の字は、杜という字を使うこともあります。

東京ではあまり見れない風景ですが、田んぼや畑の中にこんもりとした森がありそこに鳥居が立っている風景です。

また神社の建物の後ろに、森や山があるという風景も神社には良くあります。

社殿の後ろにある鎮守の森に、古代の人たちは神様が集うと考えていたのです。

近年までは、神域である鎮守の森への侵入は許されない所が多くありました。


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境内の基本的な造り


ここでは神社のオーソドックスな配置を紹介します。もちろん個々の神社は、それぞれに特徴がありますが、基本形は定まっています。

社号標

神社の入り口といえば鳥居が目につきますが一の鳥居の左右どちらかの斜め前くらいにその神社の名前を記した石碑があります。

これを社号標と言います。側面には、制作時期や字を誰が書いたかなどが記されています。有名な神社だと有名人の作なんてこともあります。

鳥居

日本の地図で神社のマークは鳥居の形をしていますが、鳥居が最も神社の象徴的な建造物ということでしょうね。

鳥居とは世俗と神域とを分ける地点で、鳥居をくぐるとそこからは神の領域になります。もちろん普通に、門としての役割もしています。大きな神社には、鳥居の後ろに門があるところもあります。

鳥居に関しては別記事で、詳しく説明していますのでそちらを参照してください。

鳥居は世俗と聖地の境界線~鳥居の起源~

参道

鳥居から入り拝殿・本殿まで結ぶ道を参道と言います。神社にもよりますが、参道に玉砂利を引いてある神社もあります。

この玉砂利の「玉」「魂」につながるとか、「玉(ぎょく)」と読んで高貴な石という意味にもまります。また玉砂利を踏むときの音が、邪気を払うとも言われています。

歩きにくいとか靴に挟まるなどと文句を言わず、邪気を祓い清められていると感じながら参道を歩いてください。

参道の中央は「正中」と言って、神様が通るところです。ですから我々は、端を通るのが礼儀となります。また神様が通る正中を横切るときは、拝殿・本殿の方に一礼してから横切ります。

灯籠

灯籠はもともとは寺院にあったものですが、徐々に神社でも普及していったものです。

手水舎(てみずや・ちょうずや)

鳥居をくぐるという行為も清めなのですが、手水舎で本格的清めます。祭儀や参拝の前に体を必ず清めなければならないのですが、これを「禊ぎ」といいます。何気なく手水舎で手と口を洗っているだけと思いがちですが、心と体を清める禊ぎなのです。

狛犬

参道の両脇には一対の狛犬が、1~3セットぐらいあります。この狛犬は、神社を守る守護獣なのです。

神社では狛犬と言っていますが、厳密には角のあるものが狛犬で、角のない方は獅子なのです。

古代オリエント文明などでは、神や王を守る象徴としてライオンの像が飾られていますが、その影響とも言われています。

海外の文化は朝鮮半島を経由して日本に伝わりますから、「高麗」の犬と解釈されていたようです。

狛犬は一対でセットになっていますが、この一対は雄雌だったり阿吽(口を開けているのと閉めている)だったりします。

各神社特徴のある狛犬がいますので、狛犬の違いも参拝の一つの楽しみになります。

神使、眷属

狛犬以外の動物が神社によってはいます。代表的ななところでは、稲荷神社の狐や天満宮の牛が有名です。

狛犬が神様の守護なのに対し、これらの動物は神様の使いがその役割です。

すなわち、衛兵と侍従の違いといったところです。

春日大社の鹿や、八幡宮の鳩など生きた動物もまた神の使いと言われています。

サッカー日本代表の八咫烏もやはり神の使いです。大阪の住吉大社、京都の八坂神社、諏訪野諏訪大社なども鳥を神使にしています。

その他、狼やネズミ・魚など、神社によってはいろいろな神使いや眷属がいます。

拝殿

祈祷・儀式・礼拝をするのが拝殿です。氏子さんや参拝者が入ったり、お参りをする建物ですから大きく最も目立つところにあります。

この拝殿が神社の中心と思われがちですが、神様が鎮座している最も重要な建物は本殿と言います。

伊勢神宮や熱田神宮のように拝殿を持たず、垣の外から社殿に参拝するところもあります。

拝殿と本殿は別棟になっていて、屋根のついた廊下で繋がっていたり隣接しています。

少し変わったところでは、2棟の建物を前後に連結した造りの八幡造というものがあります。これだと、一つの建物のように見えます。

社殿(正殿)

拝殿の奥には、その神社の御祭神が鎮座している社殿があります。ここが神社で最も神聖な場所になります。

通常社殿の扉は固く閉じられ、鍵もかけられています。多くの場合、拝殿から連なる垣で覆われほとんど見ることができません。

社殿は多くの場合一つの建物に何柱の御祭神が鎮座していますが、一つの社殿に一柱の御祭神が鎮座しているところもあります。

神体山のように山自体が御祭神の場合は、社殿はありません。

拝殿・本殿以外の建物。

  • 幣殿(へいでん)・・・・神様に幣帛(へいはく)という捧げものをする建物
  • 神饌電(しんせんでん)・神様に供える食事を調理するところ
  • 祝詞殿(のりとでん)・・祝詞を保管しておく建物
  • 神楽殿(かぐらでん)・・神楽を奉納する建物

上の模型図にもありますが、参道には灯籠と狛犬が並んでいます。

神社に付随する建物

  • 社務所・・神職が神社の事務をする建物
  • 授与所・・お札や御守を頒布する建物(社務所と併設されてる場合が多い)
  • 納札所・・古いお神札を納める場所
  • 宝物殿・・有名な神社などで文化財などを保管もしくは展示する建物

現在の神社の形式は、飛鳥時代(7世紀ごろ)に寺院立てられ始めその影響を受け神社の形も整ってきました。

寺院は新しい宗派が起きるたびに変化してきていますが、神社はこの時できた形が現在まで続いています。

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摂社・末社・分社とは

神社にお参りすると必ずいくつかの小さなお社があります。これを総称して境内社と言います。

境内社は、摂社末社にさらに分類されます。

摂社

主祭神の妻や娘を祀った姫神御子神、主祭神の荒魂やもともとその地にいた地主神を祀った神社のことを言います。

※荒魂とは、主祭神から分かれた勇猛な神霊の事です。

また神様同士は血縁がなくても、有力なつながりのある神様も摂社になります。

末社

主祭神と関係がない神様。明治以降神社が統合され、他の場所で祀られていた神社が移ってきたものもあります。

分社

分社は境内社とは全く違うもので、各神社の総本社の神様から祭神を分霊し各地に勧請し造られた神社のことを言います。

例えば八幡信仰の総本社は宇佐八幡宮ですが、この祭神を分霊して造られたのが手向山八幡宮石清水八幡宮などです。

ですから巷にあるほとんどの神社は総本社の分社ということになりますが、経営的な部分は完全に独立しています。

しかも石清水八幡宮のように朝廷や鎌倉幕府から支援されていた分社は、総本社以上の力を持っていたりします。鎌倉の鶴岡八幡宮などは、河内源氏2代目の源頼義が石清水八幡宮から勧請が起源の神社で、孫分社とも言えます。


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神殿の起源

先にも書きましたが、飛鳥時代になって仏教が伝来し、法隆寺などの金堂や五重塔を備えた荘厳な寺院が出現するようになりました。

この流れに神社側も対抗するような形で、社殿などの建築物が整備されていきました。

もともと自然崇拝・先祖崇拝を起源としている神社には、拝むための小屋程度の物しか必要でありませんでした。

神社が建築物を作るとしても仏教的な意匠の物では案配が悪いので、日本人が最も神聖視するを保管する倉をベースとした建築物が作られるようになりました。

古代の人たちは後の時代以上に稲を神聖視し、稲には稲魂(いなだま)という霊が宿ると考えていました。

「古事記」の中には、天照大御神伊弉諾尊から与えられた勾玉を倉の中に設けた棚に祀ったという記述があります。

古代の倉は、現代の倉庫とは違い神聖な稲を保管する場所だったのです。

稲倉は稲魂を祀る神聖な場所でしたから、神社の神殿が倉をベースにした建築物を古代の人たちはすんなりと受け入れていったのです。

現在の神社の神殿も、この稲倉をベースとした形が継承されています。

天照大御神は勾玉を祀りましたが、現在の神社の神殿は御神体を祀っています。

御神体とは、古来から鏡・剣・玉・鉾などの物に神霊が依りついた物のことを言います。

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まとめ

社殿の形は、伊勢神宮系の神明造出雲大社系の大社造りの二系統に分けられます。

伊勢神宮と出雲大社は、一定の期間の後に同じ形のものに作り変えて(遷宮)伝統の作り方を継承してきています。

現在の形式は、7世紀末から8世紀の初頭ごろに定められ継承されてきたと考えられています。

現在再建されコンクリートで作られた社殿も、ベースの形は古代から受け継がれたものだと思うと見方も変わってきますよね。

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参考文献:日本人なら知っておきたい神道 神道から日本の歴史を読む方法 (Kawade夢新書) [ 武光誠 ]

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